原点にある人生経験を紡いで仕事と向き合う
進学の際に、「心理学や体育、音楽、環境…多角的に学べるから」と言う理由でだけで選択した「保育」の道。
「子どもは苦手だったのに」やりたくないことを無理に続けたこともあり、劣等感や、不足感に苛まれる自分、という日々から、自分の生き方を模索し、その果てには親や親族まで巻き込んでしまうほどの経験をした薫さん。
「生きる道」をゼロから模索しなおし、まるで人生をリセットするような時間を経てたどり着いたのは、「大手地元企業の事務員」という肩書きでした。
世に言う「普通のOL」としての生活…落ち着きを取り戻した頃、お母様の末期ガンが発覚したそうです。
『1割程は助かるケースもある』と言う表記を発見した際に思ったことは、絶望ではなく
「1割は助かるんだ!ならば、なんとしてでも!」。
可能性に賭け、民間療法、病院、とにかくありとあらゆる場所へ出向き情報を求め、あらゆるジャンルの治療法を学んで実践。
化学療法や手術の助けもあり、お母様は、なんと2年後にドクターから「完治」を告げられたと言います(*通常、ガンは2年で「完治」という表現はしません)
ドクターが20年経った今でも、「あれは、すごかった。完治としか言いようがなかったよ。」とおっしゃるそうです。
それだけ学んで実践もしていれば、そのまま治療家への道となりそうなものなのに、なぜ?と問いかけてみた。
たまたま同僚に「シミとシワがすごい」と指摘をされ、美容の先生のところに足を運ぶことになり、その先生に「あまりにもひどい、とものすごい怒られた(笑)」と。
きっかけはたまたまであっても「ならば勉強しよう」となったことは、当然の流れだったようにも思えます。
大手コスメ会社のフランチャイズからスタートし、利益だけを追求する会社の在り方に疑問を感じながら、それまで少しずつはじめていたボディワークに転換していったそうです。
現在、薫さんの『仕事』は、あくまでも「手」による『施術』がメイン。
「人の体を触ることが好き。
クライアントは全員「モデル」で、体をお借りしている状態なんです。
私の中に完成形はあるけれど、ゴール(完了)はないから、お客さん迷惑だろうなーって思うこともあります(笑)」
食べ物だったり生活習慣だったり、その過程の1つに「ダイエット」がある。
「ダイエット」とは「予防」の手段。「美容」は「結果」の一部。
そうきっぱり語る薫さん。
「だから、ダイエットはゴールではないけれど、その過程は「美しさ」を伴うので、楽しい。
美に興味がなかった人が、痩せたからと美に興味を持ったり、『人の変わっていく様』が喜びなんです。結果はなんとしてでも私が出します。」
迷惑どころか、薫さんのクライアントは、その人生経験と学びが詰まったギフトをその「手」から受け取ることできる。
しかも、気軽に通えること、が大前提にあるから、1人あたりの単価を上げることを考えていないとのこと。
(エステティシャン教育も手がけていると、自分が教えた人の方がメニューの価格設定が高いことも多々あるそうですが!)
今後は、その薫さんの技術とマインドを引き継ぐ人を作りたいですか?
という問いかけには、
「弟子が欲しい、とかはないです。でも、教育はしたい。(注*)
開業する前、開業した後のエステさんをお手伝いしながら、エステ業界を変えたい。
機械、サプリ、下着といった「形」から入るのではなく。
職人さんと同じで、技術が大事。でも、真の技術は「手順を覚えてすること」ではなく、活かせる知識を増やすこと。
心の問題や、トラウマ、脳科学、真から緩むとは?など、体の本質に目を向けて、心も体も専門的に解明して、あらゆることを知ってほしいなと思って。」
そんな薫さんが今最も魅了されているのは「チネイザン」という施術方法。
チネイザンは、「氣内臓療法」のことで、内臓のケアをしつつ、各臓器が肉体や感情とも直結していることをアドバイスする事もある。
ただし、ここにも薫さんの全ての学びが反映されているため、「腸揉み」とだけ表現するにはもったいない。「薫流」チネイザン、とも言える。
自らの人生経験という点を線に。
線を繋いで立体にしながら、現場でクライアントさんの体と会話をし続ける薫さんの言葉は本当に力強く、「なんとしてでも」結果を出す、という想いが溢れていました。
(注*)オリジナル手技「サイズダウントリートメント術」はDVD化され、全国100店舗以上のエステサロンに導入されている
(文章中の状況などは、取材時のものとなります)
SideB/竹下育子取材後記
インタビューの最中、え!?!?って言葉が止まってしまった驚きのエピソードが。
それは、薫さんの意外過ぎる一言。
「旦那さんが整体院を始めたら、お店の前で『たい焼き』でも売りつけてやろうかな~」とか、本気で思ってました、と。
え!?!?たい焼き??
一瞬フリーズしてしまった私に、チャーミングな薫スマイルで、
「ふふふ、マインドマップにも、ちゃんと書いてたんですよ~、たい焼き売る、って。」
ユニークすぎるその人生とはいえ、まさか、「たい焼きを売る薫さん」って…想像できませんけれど!(笑)
そんな驚きのエピソードもてんこ盛りだった諸橋薫さんの今回のインタビュー。
内容が濃すぎて、1000~1500文字以内でのところ、軽く5000文字を超えてしまいそうなほどでした。
たい焼きやさんにはならず、その後、この道へ。
コスメ会社のフランチャイズからスタート…って一見よくあるパターンのようにも思えますが、かなりハードなノルマもこなしつつ、その言葉だけじゃ足りないくらいの圧倒的な行動力は、薫さんならでは!
会社の方に提案したいことがある際に、他社に20社くらい潜入したこと。
虫眼鏡使ってファンデーションの落ち具合とか調べたり
ありとあらゆることをチェックし、
仕組みから製品からパッケージまで全て分析をして、会社の利益だけ考えてる
レポート資料を上層部の方に送ったこと。
どれも、「そこまでやる??!!」とも取れるようなエピソードばかり。
そして、どのエピソードも、徹底して、「なんとしてでも」が溢れていました。
例えば本文中に挙げたお母様のことに関しても、「一割」を信じきって、すべきことを全てやる。
それは、「なんとしてでも」という、執念すら越えた「愛」そのものだなあ、と思わずにいられません。
ご自身が主催の「健康開運塾」は、毎回多彩なゲストをご自身でチョイス&依頼をかけ、43回目(2019年8月)。
エステティシャンが「健康開運塾」と銘打ってセミナー?と言われることも、もしかしたらあるのではないかと。
でも、そこには、彼女自身の中にある、
「エステというフレーズを上段に構えたいわけではない、健康に関わる仕事なんだということを知ってほしい」という思いが込められているわけです。
それは、人の心や体がどう健康であるのが望ましいのかというのを、これまでの人生経験から知っているからなのかもしれないな、と感じ入ってしまった私でした。
人には必ず、「過去」がある。
その「過去」の点と線があってこそ、立体的にその人を彩る。
諸橋さんのお話を伺っていると、まさにそんな言葉が浮かびました。
諸橋薫さん 関連情報
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